お腹に棒がささった状態から生還した小夜子は、幽霊が見えるようになってしまった。<br />バーに行ったら、カウンターの端に髪の長い女の人がいる。<br />取り壊し寸前のアパートの前を通ると、二階の角部屋でにこにこしている細く小さい女の人がいる。<br />喪った恋人。<br />元通りにならない頭と体。<br />戻ってこない自分の魂。<br />それでも、小夜子は生き続ける。<br />涙あふれる書き下ろし小説。<br />