早春賦
愛を失い、私は本物の女になった。
政略結婚と知りながら許嫁に恋をした菊乃を襲ったのは、妾の存在、隠し子、財産横領、やっと授かった我が子の流産ーー。
地獄の中で芽生えた自立心が、やがて菊乃の運命を鮮やかに変えていく。
明治維新後、金貸業から事業を拡大させた大堂家の娘・菊乃は、身分違いの伯爵家に嫁ぐ。
そこで待ち構えていたのは、歌舞伎より能を、世界情勢より貴顕社会の噂話を好み、欲望と快楽に耽る一家だった。
生家との違いに驚き、爛れた伯爵家の闇の深さを知った菊乃は、持ち前の負けん気が顔を出すのを感じていた……。
女性の権利が認められなかった激動の明治時代、旧弊な価値観はびこる格式張った家に、菊乃が新時代の風を巻き起こす!再起する女の誇りと自由、凛とした美しさを描く、一気読み必至の大河小説。
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