「ずっと一緒よ。<br />私たちは、離れないの」。<br />凪は枕元に置いてある赤い毛糸を手繰り寄せ、両端に作られた輪っかを弟の漣と自らの首にかけた。<br />ふたりが離れると、互いの首が絞まるようになっている。<br />両親を亡くして以来、ふたりはずっとそうして寄り添って生きてきた。<br />「気持ちいいよ、漣。<br />もっと感じてもいい? 姉さん、我慢できないの。<br />ここが苦しくて……」。<br />第二回団鬼六賞を受賞した注目の女流官能作家が描く、切なくも狂おしい傑作情痴小説。<br />