「死んだら会いに来るよ」。<br />そう言い残して、若くして死んでしまった、年上の女性。<br />合図は話しながら耳をかくことだという(「猫のしっぽ」)。<br />かつて気まずい別れ方をした女性から送られていた、鞄。<br />苦労してナンバー式の錠を開けると、中には褐色のかたまりが……(「鞄の中」)。<br />男と女の関係は、妖しく不思議で、時に切ない。<br />十三の傑作短篇集。<br />