鋼とガラスの都市を、時は駆け抜け、人は出会い、そして別れていく……。<br />過ぎ去ってしまったものは、すべてが無か思い出だ。<br />ジョン・レノンの死がそう教えてくれた。<br />自分は何故ここにいて、一体何をしているのだろう。<br />空洞になったような躯の中に光と勾いの粒子が流れ込んでくる。<br />このまま自分も、街のざわめきの底に沈んでしってしまうのだろうか――。<br />孤独な都市生活者の癒しがたい倦怠と虚無を、静謐で力強い筆致で描く傑作短編集。<br />