黒い蝶は死を運ぶ
由惟が「いのちの電話」の相談員になって3カ月。
相談員になるには専門の講義を受けなくてはならず、長い研修期間がある。
その講義には費用がかかるが、相談員には給料は出ない。
完全なボランティアで切実な相談に応じる。
いい加減な対応をして、相手が死を選ぼうものなら一生もののトラウマだ。
まさにハイリスクノーリターン。
こんな制度でよく50年近くも続いているが、相談員には自殺者を救いたいという強い思いを持った者が多い。
だが今回、由惟が出た電話の内容がいつもと違っていた。
殺人を告白する電話だったからだ。
しかもその殺人事件の被害者というのが……。
美貌のバイオリニストの周囲に漂う死の香り。
横溝正史賞受賞作家が新境地を切り拓いたサスペンス・ミステリ!
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