いぶし銀の働きでお夏を支える料理人の清次が、哀しき母子との交流を人知れず深めていた。<br />女の亭主は理由あって旅に出ているのだという。<br />やがて旅帰りした亭主と対面した清次は、その男に好感を抱く。<br />だが彼の眼差しには、修羅場を潜った者特有の鋭さが含まれていた。<br />男の過去に一体何が? 脛に傷持つ者は幸せになれないのか? 感涙の第九弾。<br />