実力主義の信長家臣団の中でも、明智光秀の出世は異例だった。<br />現代でいうと、五十歳で三菱商事に課長待遇で入社し、三年後には筆頭取締役に昇進するようなものだ。<br />諜報、監視、駆け引き、裏切り……。<br />織田信長と足利義昭――。<br />二人の主君に同時に仕えた男は、情報、教養、そして、したたかさを武器に、いかにして出世の階段を駆け上がったのか。<br />