念力恋愛
「あの夏の石段の上僕の背を押した少女よどうしてますか」「ラブレターは死語か否かで華やいだ吉祥寺デニーズ跡地ながめる」「学旅行で眼鏡をはずした中村は美少女でした。
それで、それだけ」ひっそり恋しく思い輝く108の星団怪しくも艶やかに微笑む40の恒星短歌界の異才・笹公人×アート界の鬼才・水野しずによる、短歌と創作(妄想ラブレター)とイラストの、「念力恋愛」ワールド。
憧れの山田先輩念写して微笑む春の妹無垢なりうっとりと「別れの曲」を弾いている男子生徒の背を椅子にして古本の少女漫画にはさまれし郵送未遂のレター哀しきケイタイがつながらぬ夜はいつのまにプラス思考の本読んでいるあの夏の石段の上僕の背を押した少女よどうしてますか指切りの指のほどけるつかのまに約束蜂の針がきらめくふられ男(お)の激しき無念吸い取ってますます冴えるきみの美貌は星占いのページに見入る少女たち思われニキビにクリームのせて色褪せたプリクラ纏い思い出の蛹のような「写ルンです」はマドンナの脇毛さやかになびきたる二十年(はたとせ)前の夏期講座あわれ
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