江戸の老舗七軒と見本市へ見世を出す新参者はつねや。<br />音松とおはつ夫婦はそこで客のうっすらした記憶の中の「思い出菓子」の注文を受けることにした。<br />初日、二日目、思い出菓子に客はない。<br />最終日ようやく訪れた武家の妻が「長崎奉行所に勤めに出た、早逝した父の土産の、名も知らぬ焼き菓子がまた食べたい」と言う。<br />夫婦は思い出の味の謎を解けるか?