神父は、その谷にただ一人で住んでいた。<br />若者たちを皮切りに、古くからの住人たちは次々と谷を出ていき、村はすっかり寂れてしまった。<br />今や住民と呼べるのは彼だけなのだ。<br />それでも神父は、毎朝鐘を鳴らし、教会を守っている。<br />そこへ…過疎の村で起こった奇妙な事件を描く「静かに鐘の鳴る谷」をはじめ、極北の荒野で、夜中の港町で、異郷の小さな町で、次々起こる20の事件。<br />