「それは、乳房であった」男の独白は、その一文から始まった――ミロのヴィーナスと衝撃的な出会いをはたした幼少期、背徳的な愉しみに翻弄され、取り返しようのない過ちを犯した少年期、サイエンスにのめりこみ、運命の友に導かれた青年期。<br />性状に従った末に人と離別までした男を、それでもある婦人は懐かしんで語るのだ。<br />「この人は、女性がそんなに好きではなかったんです」と。<br />アニメ『ファンタジスタドール』前日譚