書店主フィクリーのものがたり
かつては愛する妻と二人で売っていた。
いつまでもそうすると思っていた。
しかし、彼女は事故で逝き、いまはただ一人。
ある日、所蔵していたエドガー・アラン・ポーの稀覯本が盗まれる。
売れば大金になるはずだった財産の本が。
もう、なにもない、自分にはなにも。
それでもフィクリーは本を売る。
そしてその日、書店の中にぽつんと置かれていたのは――いたいけな幼児の女の子だった。
彼女の名前はマヤ。
自分も一人、この子も一人。
フィクリーは彼女を育てる決意をする。
マヤを育てる手助けをしようと、島の人たちが書店にやってくる。
婦人たちは頻繁にマヤの様子を見に訪れるし、あまり本を読まなかった警察署長も本を紹介してくれと気にかけて来てくれる。
みなが本を読み、買い、語り合う。
本好きになったマヤはすくすくと成長し……
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