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松本城、起つ

信州大学経済学部に通う巾上岳雪(はばうえ・たけゆき)は、家庭教師先の女子高校生・矢諸千曲(やもろ・ちくま)に連れられて初めて松本城を訪れた。
受験より趣味の松本史跡の見学を優先し、いつまでも模試の結果すら見せようとしない千曲に巾上が腹を立てていたその時、松本城が大きく揺らいだ――1686年の松本藩で目覚めた巾上は、自分が鈴木伊織(すずき・いおり)という藩士として、千曲が松本城に祀られている二十六夜神(にじゅうろくやしん)さまとして存在していることに愕然とする。
奇しくもその年、松本藩では貞享騒動という百姓一揆が発生、多数の死者を出していた。
状況に戸惑う巾上は、命懸けで年貢減免に挑もうとしている多田加助(ただ・かすけ)ら農民と出会い、その窮状を知るなかで、彼らを救いたいと感じ始める。
巾上と千曲は、松本の人々を救うことができるのか? そして現代へ戻ってくることはできるのか――?




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