映画監督になる夢破れ、故郷を飛び出した青年・門川は、アパート管理のバイトをしていた。<br />ある日、住人の独居老人・帯屋が亡くなっているのを見つけ、遺品の8ミリフィルムを発見する。<br />映っていたのは重いリヤカーを引きながらも、笑顔をたやさない行商の女性だった。<br />門川は、映像を撮った帯屋に惹かれ彼の人生を辿り、孤独にみえた老人の波瀾の人生を知る。<br />偶然の縁がもたらした温かな奇跡。<br />(『しらない町』改題文庫化)。<br />2011年さわべス受賞作。<br />