「これから、わたしたちはどうなるの?」二人の愛する女から突きつけられたこの言葉に、ケマルは答えをもたなかった。<br />彼の心はスィベルとフュスンの間を揺れ動き、終わりのない苦悩に沈む。<br />焦れた女たちはそれぞれの決断を下すのだが……。<br />ケマルは心配する家族や親友たちから距離を置き孤立を深める。<br />会社の経営にも身が入らず徐々にその人生は破綻していく――トルコ初のノーベル文学賞作家が八年の歳月を費やして完成させた最新傑作、待望の邦訳。<br />