造形家である木根原の娘・理沙は、九年前に海辺で溺れてから深昏睡状態にある。<br />「五番めは?」彼を追いかけてくる幻聴と、モーツァルトの楽曲。<br />高速道路でありえない津波に遭遇し、各所で七本肢の巨大蜘蛛が目撃されているとも知る。<br />担当医師の龍神は、理沙の夢想が東京に〈砂嵐〉を巻き起こしていると語るが……。<br />『綺譚集』『11』の稀代の幻視者が、あまりにも精緻に構築した機械仕掛けの幻想、全3章。<br />