幼いころ、実の父母を殺されたお市だが、腕利きの岡っ引きだった万七に引き取られ、強くたくましく育つ。<br />よろず請負い稼業に身を転じた万七から、体術を教え込まれてきたのだ。<br />が、その万七が大川で不審な死を遂げた。<br />哀しみの中、お市は稼業を継ぐ。<br />駆け落ち娘の行方捜し、不義密通の事実、記憶のない女の身元、ありえない水死の謎――持ち込まれる難事にも、お市は生前の万七の極意を思い返し、真実を掴みとってゆく。<br />