‘陰仕え’として、公儀の敵を闇から闇へとやむなく斬ってきたという秘事を抱える薄毛の剣士・紋四郎は、好物の海苔弁を食しながら煩悶していた。<br />愛妻さくらにも、このことは明かせぬ苦悶の日々。<br />そんな折、友の同心から助けを請われる。<br />次々と起こる読売殺し――江戸を騒がす下手人の捕縛を手伝ってくれというのだ。<br />紋四郎は勇んで引き受けるが…なんと!好奇心に富みすぎる妻が自分も手伝うと言い出すから、気苦労が増えて……。<br />