「これから、わたしたちはどうなるの?」二人の愛する女から突きつけられた言葉に、ケマルは答えようがなかった。<br />彼の心はスィベルとフュスンの間を揺れ動き、終わりのない苦悩に沈む。<br />焦れた女たちはそれぞれの決断を下すのだが──。<br />ケマルは心配する家族や友人たちから距離を置き、次第に孤立を深める。<br />会社の経営にも身が入らず徐々にその人生は破綻していく。<br />トルコ初のノーベル文学賞作家が描く、狂気の愛の物語。<br />