出会いの場所は路上。<br />女は唐突に捨てられ、男は選択の余地もなく、女を拾う。<br />「スローなブギにしてくれ」にも通じる片岡義男の初期小説のパターンをこの短編もまた踏襲している。<br />若い女と男が一つ屋根の下に過ごせばむろん、静穏な時間は長く続かない。<br />やがて世間が、さまざまな力=暴力が2人を襲うはずだ。<br />それぞれの痛手を経由して、2人はようやく手に入れる。<br />そこにある、「さしむかい」という言葉の体温を。<br />