水瓜を射つ女
明解極まりない短篇小説である。
アメリカでは、日本と違い、一定の手続きを経れば、誰でも銃を手にすることができる。
射撃の対象となったものは、よほど堅固な物質か、もしくは柔らかすぎる物質を除いてひとたまりもなくその存在を崩壊させるだろう。
そこでは、何であれ水瓜みたいなモノであるほかはない。
ここでは女は、たしかに水瓜を射る。
水瓜「も」、というべきか。
「水瓜を撃つの」と言った女に、二言はない。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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