煙が目にしみる
ひどい男、と言ってさしつかえないだろう。
仕事が忙しいことを理由に、約束を反故にし続ける男である。
しかし女に対する同情も微妙だ。
待つ女になりすぎている。
惚れた弱み?それでも、女と男は一晩だけ、会うことができた。
倉敷から金沢、金沢から新潟。
なんとムダに(?)西から東へ。
大人だから、酒も飲めば煙草もある。
煙草の煙が、目に入る。
もし涙が出たとしても、それは純粋に煙のせいなのだ。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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