会話と拳銃だけで構成された、シンプル極まりない短編。<br />いや、その2つの前に、大前提として白い町がある。<br />エーゲ海を思わせる青い海に、すべての建物が白い町。<br />男はそこにいる。<br />何もかもが白い。<br />圧倒的に、狂気の白だ。<br />白が失われる夕刻以降の時刻と真っ赤な自分の車だけが救い。<br />恋人ではなく、ただ性的な関係を続けるだけの女と連日電話をし、彼は苛立ちを募らせる。<br />そして2人が会うその日。<br />悲劇の赤、男にとっては脱出の赤がやってくる。<br />