長い歳月が、何もかも変えてしまうことがある。<br />そして、最もかけがえのないものが、あまりの純粋さゆえか、やはり長い長いあいだ、記憶の底に沈んだままでいることがある。<br />2つの長い時間が交錯するその時、悲劇に振れてしまうことがある。<br />かつて子供の頃に1年だけ住んだ町のあまりの変貌に呆然としつつ1枚の絵によって忽然とよみがえった自分の宝を男は実に34年ぶりに探し始める。<br />その願いが叶うはずのないことが理解された時、男の居場所はもはや、静かな狂気以外にはない。<br />