彼のお気にいり
オートバイで走る、ということによってしか知りえない人の魅力、というものがあるのだろう。
男は前を走る赤いオープン・カーの後ろに付いたまま離れない。
女も、普通なら気味の悪い尾行と思えるこの行為がなぜかしら心地いい。
こうして2人は路上で出会った。
路上の出会い。
それは、片岡義男の小説の黄金のパターンだ。
その日、彼女の自動車はそのボディの色のようにことごとく赤信号で止められた。
だがその1年後。
今度はことごとく信号がグリーンの道を走る運命にある。
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