もうひとつラヴ・ソング
この短篇のすばらしさは、タイトルに集約されている。
「もう一つのラヴ・ソング」ではなく「もうひとつラヴ・ソング」。
「の」を抜くことによって、一つのラヴ・ソングのことだけでなく、人が生きているこの世界すべてが小説の対象になった。
思いがけない形で遺されたラヴ・ソングを思いがけない人物が歌うことになり、それを家族が聴いている。
読者が聴いている。
この世界が聴いている。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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