ムーンライト・セレナーデ
片岡義男のいくつかの小説が踏襲する独特のパターンというものがある。
ダメになった、嫌いになったわけでもないのに別れること。
女と男が、1台のクルマではなく、それぞれのクルマに乗って2台で長い距離を移動すること。
この短編はその両方を満たしている。
男は、ナイトクラブのピアノ弾き。
驚くほど上手いが、向上心がない。
めっぽうモテる。
本当の意味で自分の足で立てる男でもある。
でも、女はくやしいだろう。
男は自分で「ろくでなし」と言うのだから、遠慮は要らない、読者も「ろくでなし」と断罪してほしい。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
更新中です。しばらくお待ちください。