はるかカナダにまで続く、気の遠くなるような面積の麦畑。<br />熟練の腕を持つ指揮官の下、麦刈り隊に加わった青年は恐怖すら感じさせる、そして官能のゆらめきをたたえた麦畑の法外な物量の中で、かつてない身体の開放と地球と自分の体が一つになった感覚を獲得する。<br />麦畑と一緒に在ると、風はひときわよく目で観察することができ、火はあまりに獰猛で俊敏に動く。<br />そこにむきだしの、プリミティヴな人間の動きが接する。<br />この純度の高さこそが、労働というものだ。<br />