パッシング・スルー
端的なタイトルがこの短編のすべてを表している。
通り過ぎること、それがすべて。
町を通り過ぎながら、見る。
徒歩や自転車やオートバイのように体を外気にさらさない四角い個室のまま自動車で移動することで見ることは純化される。
通り過ぎることでカメラ・アイになる。
そこに対向車が、ガス・ステーションが、林が、湖が、広告の看板が、遊園地が、ビーチパラソルが、教会が映る。
主人公は、カメラではなく、人間であることを忘れないように(?)時折、リンゴをかじる。
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