きみはただ淋しいだけ
この短篇小説を読み終え、あらためてタイトルを見ると、いかにも的確で、同時に残酷に思えてくる。
10年前の輝きを、その当時の風景を目の当たりにしていくらでも語ることができるのは、現在にその輝きが失われているからだ。
かつて選んだ男が去り、選ばなかった男が新たにやってきた、という単純な話ではない。
あの輝きはもはや、確実に消えてしまったのだ。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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