フラッシュ・バックを使うな
撮って、と彼女の現在が言う作品の隅々にまで、シドニーのさわやかな風が吹いている。
そして、片岡作品の顕著な主題の一つである「再会」がここでもあざやかに表れる。
18歳から28歳へ。
東京からシドニーへ。
10年の時を乗り越え、始まることのないまま途切れていた線が再びつながる。
写真とは撮られたものばかりでなく、これから撮るものも写真であるはずだと、この作品は高らかに告げている。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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