正直で可憐な妻
さまざまな別れのあとには、さまざまな再会があればいいこの短編の、再会のシーンのあざやかさはどうだろう。
もしも映画なら、男性視点、女性視点、ロングショット、寄りのショット、そしてすれ違う瞬間のことや交わす目線、かける言葉のタイミングなど制作者には相当な力量が問われるだろう。
人は大人になり、結婚をし、時間が経過すれば離婚、というようなこともありそしてまた… どこかで生きている限り、さまざまな可能性がある。
再会とは、失われたものを取り戻すことではない、と誰もが知っている。
それはまた新しい生を生きるために必要なアクションなのだ。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
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