時差のないふたつの島
ストーリーを書き始めるまでのストーリー片岡義男の小説にはストーリーを書くという行為そのものを考察し、主人公が登場人物たちと会話し、その成り行きが小説として提示されている作品がいくつもある。
この小説もまさにその1つであり、本格的な長篇だ。
2つの島というヴィジョン、双子というヴィジョンはストーリーと、ストーリーを書くという2つのレベルに呼応し、やがてそれらは溶け合って1つの小説になる。
この小説で重要なのは、プラス島の歴史=人々の時間、という大切な要素がそこに呼び出されていることである。
※作家の敬愛する写真家・佐藤秀明氏撮影の写真を収録【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
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