泣くには明るすぎる
かつて優しかった女性と、今、目の前で優しい女性のあいだで、彼は泣くもう4年前に終了したラジオ番組を、一晩だけ復活させる。
それも、たった1人の女性を喜ばせるために。
そんな荒唐無稽なことが起こりうるだろうか? と思うが小説であればそれはもちろん起こるし、テレビではなくラジオという小さな、親密なメディアであれば、可能性は高くなる。
チームはかつてと同じようにすばらしく機能し、無事に番組の収録は終わる。
だが…この試みの陰には、一つの悲しみが、悲しみのための涙があったのだ。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
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