彼女を思い出す彼
今はもうない過去に向けて放った一言を現在、違う相手が受け止めること会社の同僚である男女。
恋人同士ではないがあいまいな親密さがあり、それは自分の部屋で夕食を食べよう、という女性側からの提案でもうかがい知ることができる。
そしてそこに向かう道すがらは男の側に、痛みとして残っている過去を思い出させるには十分だった。
男は現在にいながら過去を見ていて、ふと過去に向かって言葉を発してしまう。
そしてその言葉を受け止めるのは過去ではなく現在であり、そこにいる同僚の女性だ、というこのラストシーンを読もう。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
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