愛の基礎としての会話
「私は」と「私も」片岡義男の小説にはしばしば作家が登場し、今まさに思いついたストーリーを目の前の相手(作家はたいてい男で相手は女だ)に向かって語ることで成立している作品群がある。
ここでの女性は金髪で青い瞳のアメリカ人女性だ。
彼女は、日本語が日本人に無意識のうちにもたらしているものを分析した本を書こうとしている。
日本語と英語をめぐる二人の批評的な会話の中で彼は彼女が放った「私は」を「私も」に変更することを要求する。
それは信頼関係にある、そして異文化に属する二人のあいだにかけられた美しい橋である。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
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