ついていけなかった
ついていかなくてもよくなった二人スーパーマーケットの中で、バッタリ友人に会う。
ごく日常的な出来事だが、ここでは同じ35歳の男が二人で、しかも偶然の一致があった。
妻から追い出され、今はひとり暮らし、という共通点だ。
二人はスーパーを出て、コーヒーを飲みながら語り合う。
それぞれの別れの原因になったのは時間と色彩。
その決定的な不一致である。
抽象的なようでどこまでも具体的な不一致は、歩み寄る努力の余地のないものだった。
ごく近い過去として語る男二人の会話には哀感と解放感が、ほぼ同量で漂っている。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
更新中です。しばらくお待ちください。