ある種の素敵なことがら
料理に始まり、そこに戻り、何事かに気づく、ということ親密になるきっかけが料理だったとすれば、再びよりを戻すきっかけもまた料理だった、ということがどうやらここで起きている出来事のようだ。
あなたは現実の私を見ているのではない、イメージを投影してそれを好んでいるだけだ、と女は男に言う。
そして男から離れようとする。
しかし約半年後、女が再び引力のような力で引っ張られていくのはやはり男の作る料理のあるほうへ、だった。
そして料理に加えて写真が介在することでまわり道をした女は、ある種の「素敵」に気がつくのだ。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
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