思い出の十二号埠頭
そして十年後も豪雨の日を迎える女には、恋人と呼んで差し支えない相手がいた。
その男が、話をしたい、ということでセダンで迎えに来る。
女は激しい気性で、日本車の惨めさについて、戦後日本社会の貧弱さについて意見をぶちまける。
やがて天候が変わり、湾岸線を走る車の上に豪雨が訪れる。
彼女は豪雨の中、危険も顧みず、途方もない行動に出る……それからちょうど10年後の同じ日。
また同じような天候だ。
はたして彼女は何を思うのか? 短篇「八月の上半身」に話題としてのみ出てくる女性がここでは主人公。
ぜひ、併読をお勧めしたい。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
更新中です。しばらくお待ちください。