十九歳のアロハ・シャツ
記憶に残りたい、影響を与えたい、と願う素直さについて物語の舞台は1950年代と思われる。
敗戦から立ち直りつつある東京の発展を考慮して「これからは不動産だ」とハワイから来日した日系二世の男がいる。
主人公はその男の息子(18歳)と、隣家の5歳年上の娘だ。
父親から言いつけられた庭の整備を通じて二人は親密になるが、やがてハワイに戻る日がやってくる。
互いに好意を持っている自分たちを励ますように彼女はある行動に出て、それは翌年、19歳の彼の晴れやかな姿となって結実する。
年下の男子に影響を与えたい、と願う健全な女性の思いがまぶしい。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
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