水平線に時を読む
「ストーリーは過去であり、過去はストーリーだ」波乗りを好む男が、雑誌の取材でインタヴューに赴く。
相手は57歳。
その人も波乗りの練達で、しかもその人の祖父こそが、日本で初めてのサーファーの可能性もあるという。
加えて彼の家には、日本最古のサーフボードが保存されている。
過去はどんどんどこからか湧いてきて「波が呼ぶんだよ」という小説の話、その映画の話、ハワイの話に広がってゆく。
「波が呼ぶんだよ」とはまさに片岡義男の小説のタイトルであり、ハワイは作家の父方のルーツである。
自伝的要素を巧みにフィクションに混入した、手の込んだ作品だ。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
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