裸婦のいる部屋
縛る、とはどういうことか二人の女性がいる。
その姿、身長、着ている服に共通したものがあり、そして年齢も共に28歳。
非常によく似た二人だ。
春の夕暮れ、世間ではまだ多くの人が働いている時間に彼女たちはホテルの11階の部屋に入る。
ここからが自分たちだけの時間だ。
自分たちだけ、でありつつ同時にそこに、二つの道具が挿入される。
カメラとロープ。
カメラは三脚で固定され、身体はロープで固定される。
縛る、ということ、縛られる、ということの果ての無い快感がそこにある。
縛ること、縛られることは彼女たちの生き方だ。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。
75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。
ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
http://kataokayoshio.com/
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