嫌なことからは逃げる
逃げながら、しかし迂回していても、いつか問題には直面します。
その逃げる過程がまた物語を生むのです。
「町で見つけた小さな謎」や「日本国内でのほんのちょっとした旅」といった連載を雑誌に書いている主人公。
その「書く」という行為が日常になっている男の行動をそのまま物語にしたような作品です。
何をするにも「考える→動く」というスタイルが習い性となっている「物書き」という職業についての物語と言ってもいいかも知れません。
その生き方をまっとうするための、最も大切なことが「嫌なことからは逃げる」ことなのでしょう。
逃げながら、しかし迂回していても、いつか問題には直面します。
その逃げる過程がまた物語を生むのです。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
文筆家。
大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。
74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。
翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。
小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。
著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。
近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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