ごく普通の恋愛小説
ふと地元の銭湯に行ったことから始まる偶然の連鎖。
あれよあれよと一つの恋愛物語へと転がっていきます。
翻訳家の橋本哲郎が、ふと地元の銭湯に子供の頃以来行っていないことに気がついて、行ってみることにしたことから始まる偶然の連鎖は、あれよあれよと一つの恋愛物語へと転がっていきます。
そこで描かれるストーリー自体は、タイトル通り「ごく普通の」恋愛物語かもしれません。
しかし、その急な坂道を転がり落ちるようなスピード感と、無駄のない構成の中で語られる過去のエピソードの説得力は、凡百のラブストーリーとひと括りにできるものではありません。
世田谷の片隅で長い時間かけて用意されていた恋愛の種が実を結ぶ瞬間を捉えた小説です。
底本:『ジャックはここで飲んでいる』2016年、文藝春秋【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
文筆家。
大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。
74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。
翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。
小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。
著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。
近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
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