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あんな薄情なやつ

台風が接近中の夜。
とあるコーヒーの店で、不思議な「薄情の連鎖」が始まる。
東京に台風が接近中の夜、「コーヒーの店で、ひとときを」と看板に書かれた店の客は、カウンター前が好きな女性とスーツ姿の男性客の二人。
その女性客は、店がある建物の四階に住んでいると話します。
男性客が帰った後.店主は女性客に、この店で知り合って結婚して離婚した男女の話をします。
その話に出てくる女性は、女性客の友人であり、薄情な人なのだという話をして、店主の元の奥さんのカフェについて訊ねたことから、不思議な「薄情の連鎖」が始まります。
コーヒーの香りを背景に語られる「薄情」という言葉の意味をふと考えてしまいます。
底本:『この冬の私はあの蜜柑だ』2015年、講談社【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
文筆家。
大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。
74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。
翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。
小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。
著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。
近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。




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