ええ、はい。<br />あの事件のことでしょ? えっ? どうしてわかるのかって? そりゃあ、わかりますよ。<br />だってあの事件が起きてからの一年間、訪ねてくる人来る人みんな同じことを訊くんですから。<br />――幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。<br />池袋からほんの数駅の、閑静な住宅街にあるその家に忍び込んだ何者かによって、深夜一家が惨殺された。<br />数多のエピソードを通して浮かび上がる、人間たちの愚行のカタログ。<br />『慟哭』の作者が放つ、新たなる傑作!