秘密
1941年、第二次世界大戦下のロンドン、ローレルの母ドロシー(ドリー)はまだ若く、裕福な一人暮らしの老婦人の屋敷に、メイドとして住み込んでいた。
向かいの屋敷に住む作家の妻は、美しく洗練されていて、ドリーの憧れの的だった。
国防婦人会の活動に参加し、彼女の手伝いをすることが、ドリーの生き甲斐になっていた。
そんなある日、地元に残してきた両親と弟が空襲で亡くなったことを知る。
ひとりぼっちになったドリーだったが、彼女には結婚を約束した写真家ジミーの存在があった。
ふたりは海辺の家で暮らすことを夢見ていた。
だがドリーの運命は急転回する。
ロンドンの空襲、そして……。
2011年、ローレルは、あの恐ろしい事件当時、母に抱かれていた弟とふたりで、母の過去を探りはじめる。
メイド時代の母のこと、写真の女性のこと、高名な作家夫妻のこと……。
さぐりつづけるうちに見えてきたのは思いも寄らぬ母の姿だった。
母ドロシーの過去にはいったい何が隠されているのか?『忘れられた花園』で読者を物語の迷宮に誘い込んだケイト・モートンが、ふたたび贈る幾重にも絡み合う謎。
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