目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。<br />仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。<br />「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。<br />戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始める――これは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。<br />著者あとがき=伊坂幸太郎/解説=松浦正人