破壊者
女は裸で波間にただよっていた。
脳裏をよぎるのは、陵辱されたことではなく、手指の骨を折られたことだった。
――そして小石の浜に打ち上げられた遺体が発見される。
被害者は長時間泳いだ末に力尽き、溺死していた。
一方、死体発見現場から二十キロ以上離れた港町では幼女が保護される。
彼女は被害者の三歳になる娘だった。
なぜ犯人は母親を殺したのに娘を無傷で解放したのか? 海を恐れ船に乗らなかった女性がなぜ溺死したのか? 凄惨きわまりない事件は、被害者をめぐる複雑な人間関係を暴き出す。
現代英国ミステリの女王が放つ稀代の雄篇。
/解説=杉江松恋
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